高齢者見守り、手厚く、首都圏の自治体、孤立防ぐ――さいたま市、安否確認など拡充
2011年02月08日 日本経済新聞
首都圏の自治体が高齢者の見守り事業を相次いで拡充する。東京都杉並区は区内高齢者のうち約1万人を対象とした自宅訪問を7月に始める。自治体による1万人規模の訪問事業は23区では珍しい。区内に約5万2千人いる75歳以上の高齢者のうち、直近に医療や介護保険のサービスを受けていないなど、行政が所在を把握しにくい人が対象で、看護師や民生委員らが訪問する。
大規模団地「高島平団地」を抱える板橋区は5月から、団地内の全高齢者を対象に聞き取り調査を実施し、結果を政策立案に生かす。同団地の住民の65歳以上の比率は38%。団塊世代も多く、今後、高齢化がさらに進むと区はみている。調査結果をもとに介護や医療などを包括した新たな施策案を来年1月ごろにまとめる。
文京区は介護サービスなどの利用者を除く75歳以上の高齢者を対象に、生活状況の聞き取り調査に乗り出す。対象者は約1万3千人。見守りを希望する場合、生活に不安があると思われる場合は、月2回程度の自宅訪問を実施。社会福祉協議会に登録するボランティアら80人程度の「みまもりサポーター」が5月に始める。
さいたま市も2011年度予算案で高齢者の見守り強化に重点配分した。社会福祉協議会が実施している「高齢者地域ケアネットワーク」を市全域に広げる狙いだ。協議会がボランティア委員を募集し、民生委員とともに安否確認や声掛けを実施する。定期的な会合を開いて高齢者に参加を促す。電球の取り換えといった家事の手伝いなどを通じて、地域住民と高齢者とのコミュニケーションの維持を図る。退職した団塊世代などにも積極的に参加を呼びかける方針だ。