高齢者住まい法改正で「安否確認」が登録基準に

2011年02月07日 ケアマネジメントオンライン


 東京都は、1月28日、「平成22年度高齢者住宅支援員研修会」を開催した。高齢者住宅支援員研修事業は、高齢者が住み慣れた住宅・地域でできる限り生活を継続することを支援するため、高齢者への見守りを広く普及させることを目的として、都内にある集合住宅の管理人や管理組合代表者などを対象に毎年、開催されている。今年も高齢者支援に求められる基礎知識などを習得するために約180名が受講した。

 研修会は厚生労働省による講演から始まり、老健局高齢者支援課課長補佐の廣瀬泉氏は、冒頭で高齢者を取り巻く現状について数々のデータを示した。2008~2009年にかけて内閣府が実施した調査結果によると、3,500人の高齢者のうち独居高齢者では2割近くの人が「食事を欠食することがある」と回答し、日頃の会話頻度を尋ねたところ「人と話す機会は1週間に1回以下」という人も多かった。

「地域によって高齢者を取り巻く事情は異なるが、何に課題があるのか、しっかりと把握することが重要」と述べた廣瀬氏は、現在開会している通常国会に提出予定の法改正案に盛り込まれている“地域包括ケア”を取り上げた。日常生活圏域において介護・医療・住まいなど複合サービスが展開される地域包括ケアのイメージの中で、「サービス付き高齢者住宅」の供給を法改正で図ると示唆した。

具体的には、通常国会で“高齢者住まい法”の改正を予定しており、「高齢者専用賃貸住宅(高専賃)などの現行では、高齢者のための住宅と定義され広さなどハード面での基準を満たすことが義務付けられているが、それだけでなく、安否確認、生活相談を必須項目とした高齢者支援サービスの提供を改正で付随させる予定。これらのサービスが提供されないと真に高齢者のための住まいとは言えない」と述べて、見守りや安否確認を担う立場の受講者らにその重要性を説いた。

廣瀬氏は、高齢者住宅支援員に期待することとして、行政から高齢者に困っていることがないか尋ねるアンケート調査を実施した例をあげ、「本当に大事になのはアンケートに回答しなかった人がどういう生活をしているのか状況を把握すること。高齢者がどんなことで困っているのか声に出すのは難しい。高齢者の思いが聞き出せるように身近な関わりができる皆さんが信頼関係を築いてほしい」と語った。

■取材協力
財団法人 高齢者住宅財団