配食業者、高齢者“見守り” 県警、配達員通じ注意促す/滋賀
2011年02月05日 読売新聞
被害相談受け通報も
お年寄りの家を対象にする「配食サービス」の事業者に犯罪情報を伝え、配達員からお年寄りに注意を呼びかける県警の防犯ネットワークの運用が始まった。全国的にも珍しい取り組みで、県警は「警察官だけでは、全てのお年寄りと直接は話せない。事業者の協力で、犯罪に巻き込まれるお年寄りを一人でも減らしたい」としている。(鷲尾龍一)
昨年の県内の刑法犯認知件数は1万5501件(前年比243件増)で、全国で唯一、増加した。65歳以上の高齢者の被害は1069件で、振り込め詐欺、空き巣や忍び込みなど自宅での窃盗、ひったくりの被害はそれぞれ、高齢者が5~3割を占めている。
こうした事態を受け、県警は「配食サービス」の事業者と、事業者にサービスを事業委託している自治体に協力を要請し、31事業者と15市町が賛同した。1日当たりの配食は、31事業者で約3700人分という。
防犯ネットワークでは、県警が事業者に振り込め詐欺などお年寄りを狙った犯罪に関する情報を提供。お年寄り宅を訪問した配達員が、「最近、この辺りで空き巣が多い」「キャッシュカードを預かると言われても渡さないで」などと注意を呼びかける。
また、お年寄りから犯罪被害などの相談を受けた配達員は、事業者を通じて県警や自治体に通報する。
県内では3店舗が参加する「宅配クック123」の運営会社「シニアライフクリエイト」(東京都港区)の仲川輝明さん(38)は「お年寄りには普段から、『お元気ですか』などと声をかけるようにしているが、警察や自治体と協力できればさらに心強い」と話している。