西陣「買い物弱者」支援 福祉協議会、安否確認も/京都
2011年01月11日 京都新聞
日常の買い物が困難な高齢者ら「買い物弱者」が全国的に増える中、京都市上京区の住民でつくる「西陣地域住民福祉協議会」が、足腰が弱って外へ出掛けにくい高齢者に、新鮮な京都産野菜を届ける「買い物支援」の取り組みを続けている。自宅訪問やマンションでの販売会を通じ、安否確認や住民の交流に一役買っている。
一人暮らしの文字喜美子さん(87)が先月28日、自宅の軒先に並んだ水菜や大根で満載のケースを品定めしていた。近所にスーパーはあるが、腰が悪く、重い荷物は持てない。「食卓に野菜が並ぶ。ありがたい」
野菜を運んでいるのは、西陣地域住民福祉協議会副会長の藤林宏さん(58)だ。地元の元西陣小で2年前に野菜の直売が始まった際、「野菜が重くて運べない」との嘆きを耳にして宅配を始めた。
訪問先は約20軒に広がり、週5回巡回し、なじみの客には野菜以外の買い物を代行している。「待ってるえ」「無理聞いてくれるか」と声が掛かる。
地元の都市再生機構の高層住宅でも週3回、出張販売会を開いてきた。住人の半数以上が高齢者だ。脳梗塞で右半身が不自由な夫(90)を介護する森時子さん(82)も毎回訪れる。以前は、住人仲間でサークル活動をしていたが、メンバーの高齢化で自然消滅した。「ここにくれば、みんなとおしゃべりができて元気になれる」と笑顔を見せた。
取り組みを続ける藤林さんは、近所への外出さえ困難だったり、隣近所に頼れない高齢者の厳しい現実に直面した。「高齢化は都市部でも進み、買い物支援は重要な課題になる。住民としてできる手伝いを一つずつしていきたい」と語る。
■買い物弱者 日常の買い物が困難な高齢者らのことで、「買い物難民」とも呼ばれる。経済産業省の推計では、全国で600万人に上る。郊外の大型ショッピングセンターが増える一方、市街地の商店街で個人商店などの閉店が相次ぐことが背景にある。特に自動車を運転できない高齢者にとって深刻な問題になっている。