独居高齢者宅に見守りセンサー 豊前市など4市町 来年度から
/福岡

2010年12月31日 西日本新聞

 高齢者の孤独死が社会問題となる中、福岡県豊前市、築上町、吉富町、上毛町の隣接4市町は2011年度から共同で、独居高齢者宅に人の動きを感知するセンサーを設置し、一定時間反応がない場合、近親者などにメールで異常を知らせるシステムの運用を始める。厚生労働省は「自治体が広域的に連携し、情報機器で独居高齢者を見守る取り組みで、全国初ではないだろうか」と評価している。

 現在、4市町の独居高齢者宅には、ボタンを押すと119番につながる緊急通報装置が取り付けてある。計画では、この装置にセンサーによる監視機能を加えて、センサーをトイレや居間などに設置する。

 高齢者が出かける際に押す「外出ボタン」が押されないまま、8-12時間、人の動きをセンサーが感知しなかった場合、信号が京築広域圏消防本部(豊前市)にあるサーバーに送信される。するとサーバーから、あらかじめ登録された近親者や民生委員などのメールアドレスに、安否確認を促すメールが送られる。

 このシステムは高齢者のほか独居の身体障害者宅にも適用する。吉富、上毛の2町はすべての対象者宅に配備し、豊前市と築上町は希望者宅に取り付ける。

 4市町には独居の高齢者、身体障害者が約600人いるとみられ、4市町はセンサー計500台を来年3月までに設置して、4月から運用を始める計画。事業費約6千万円は国が全額負担する。総務省が今年4-6月、地域ICT(情報通信技術)利活用広域連携事業を全国の自治体に公募。寄せられた147事業案から選ばれた。

 4市町は6月に「京築広域圏あんしん提供協議会」を設立。システム運営を話し合ってきた。協議会事務局を務める上毛町は「自治会や近隣住民の見守りには限界がある。ITをうまく活用することで、孤独死などの悲劇を未然に防ぎたい」と話している。

■画期的な取り組み 北海道大大学院の金子勇教授(地域福祉社会学)の話

 自治体が連携し消防署も協力しており、全国でも画期的な取り組みだといえる。高齢者の孤独死を防止する有力な手段になると思う。ただ、システムの維持管理費などの負担は将来的に続いていく。行政が途中でやめたりしないよう、報道機関や市民が運用をチェックしていく必要があるだろう。