「孤独死は介護業者らの不手際が原因」男性の遺族が提訴/釧路

2010年11月24日 北海道新聞

 【釧路】訪問介護サービスを受けていた釧路市内の男性(71)が昨年1月、独り暮らしの自宅で死亡したのは介護事業者と包括支援センターの不手際が原因だとして、男性の遺族が約2700万円の損害賠償を求める訴えを釧路地裁に起こした。第1回口頭弁論が12月15日に行われる。

 被告は訪問介護サービスを担当していた社会福祉法人釧路啓生会と、釧路市から釧路市西部地域包括支援センターの委託を受けている医療法人豊慈会で、提訴は9月21日付。

 訴状によると男性は要支援1で持病もあり、昨年1月26日、訪ねてきた啓生会の職員に体調が悪化したことを伝えたが、職員は翌27日の訪問時、男性宅が施錠され応答がなかったのを不在と判断。連絡を受けた同センターもその日は男性宅に電話するにとどまり、28日になって同センター職員と警察官が男性宅に入り、死亡しているのを発見したという。

 検視の結果、死因は急性心臓病で死亡推定時刻は28日午前4時と判明。原告側は、応答がないのは症状の悪化だと予見できたのに、両法人とも医療機関への通報や緊急連絡先への連絡を怠ったと主張している。被告の両法人は「弁護士に一任している」としている。