孤独死防止へ安心センサー見守り中 UR団地で実証実験/横浜

2010年10月18日 朝日新聞

 お年寄りの孤独死をなくしたい――と、横浜市栄区の公田町団地で住戸に設置したセンサーを使って安否確認するシステムが3カ月前、試験的に導入された。都市再生機構(UR)の団地では全国初の実証実験で、結果を見極めて全国に広げることも検討している。

 「異状ありませんね」。団地中心にある住民の交流拠点「いこい」の事務所で、住民らでつくるNPO法人「お互いさまねっと公田町団地」スタッフがモニターをのぞき込んで確認した。各部屋で居住者が動いた回数をセンサーがキャッチし、12時間以上反応がない住戸があれば画面に警告が表示される。

 居住者の動きは赤外線や超音波のセンサーでとらえ、テレビのリモコンや照明スイッチの使用回数もわかる。ドア開閉状況から外出しているかどうかも把握できる。集められた情報はモニターに表示され、スタッフが最低でも朝夕の2回チェックする。異状があれば電話を入れたり訪ねたりして安否確認する。今のところ警告が表示された例はないが、スタッフは「いざという時に一目で様子がわかるのは安心感がある」と話す。

 同団地の1160戸のうち現在、約30戸で試験的に導入しており、年度内に80戸に拡大する予定だ。その状況を見て、2011年度に団地全体に対象を広げることも検討するという。UR担当者は「実験の結果を見て効果やコストを見極める。システムを簡易化することも含め、実現可能な線を探りたい」と話す。