マンション住民見守る「絆」 仙台中央署特別班が腕章着け巡回

2010年10月15日 河北新報

 仙台市中心部のマンションを対象に、高齢者の安否確認や児童虐待の早期発見につなげようと、仙台中央署は巡回連絡の特別班「絆(きずな)」をつくり、巡回に力を入れ始めた。近隣や地域との関係が薄いとされるマンション住民と顔の見える関係を築き、お年寄りの孤立や児童虐待などに対応する。
中央署の高橋幸治地域課長は「警察と住民とのきずなを強める活動を展開する」と意気込んでいる。


 特別班は9月、中央署地域課の20~50代の署員9人で発足した。毎日、2、3人ずつに分かれて管内のマンションを訪ね、入居状況や管理体制を確認している。

 総務省の2008年住宅・土地統計調査によると、仙台市内にあるマンションなどの共同住宅は26万4600戸、全住宅の59%に上る。青葉区の共同住宅は、その約3割を占める。

 「ポストに郵便物がたまっている」「部屋の住民と連絡が取れない」。中央署には毎月、住民の安否にかかわる問い合わせが数件寄せられる。

 管内のマンションで最近、病死とみられる80代の女性が白骨化した状態で見つかった。女性は独り暮らしだったため、発見されず1年ほどたっていたという。

 中央署によると、住民の安否確認の必要性が高まる一方、オートロックの普及で住民の姿は見えにくくなった。地域のつながりも弱まったとされ、児童虐待への対応も大きな課題だという。

 尾形正人署長は「社会問題化している高齢者の孤立や児童虐待などへ、警察として先手を打って取り組む」と特別班の意義を強調する。

 青葉区立町地区民生委員の吉岡召子会長(69)は「民生委員が訪問してもプライバシーの問題を指摘されるケースが増えた。児童虐待の芽を見付けても、接触できないことがある」と話し、特別班の活動に期待する。


<巡回連絡>交番や駐在所に勤務する警察官の業務の一つ。地域の家庭や事業所を訪問、所在を把握するとともに、住民の相談事や要望を聞き、警察活動に反映する。緊急時に備えて、住民の氏名や連絡先の確認も任意で行う。