高齢者支援の取り組み、先進県の自治体を調査 富士常葉大の稲葉教授/静岡
2010年10月06日 静岡新聞
富士常葉大副学長の稲葉光彦教授(社会福祉)がこのほど、高齢者の見守り活動に力を入れる鳥取、島根両県の自治体を訪れ、取り組みを調査した。全国で高齢者の所在不明が問題となる中、「行政、住民、事業者が連携し、地域ぐるみで高齢者を見守ることが今後の“高齢社会”には不可欠」と指摘している。
視察したのは、鳥取県江府町、島根県松江市、奥出雲町。それぞれ独自の施策を通じて高齢者に目を行き届かせ、孤独死や所在不明を防いでいる。
高齢化率が38%の江府町では、看護師の資格を持ち、独居老人の訪問を専門に行う「地域見守り支援員」を雇用し、安否だけでなく健康状態も確認している。鳥取県は、人口の46%が住む中山間地域への対応として、新聞社や宅配業者、農協などの事業者が配達で住民の異常を見つけた場合、県や自治体などに連絡する連携事業も進めている。
島根県の2自治体も、要援護者の見守り活動を行うボランティアの「福祉協力員」を地区単位で設けたり、75歳以上の単身世帯を対象に24時間、自治体窓口と連絡が取れるテレビ電話を与えたりと、地域の実情に合った支援を行っている。
稲葉教授は本県にもこれらの取り組みが通じるとし、「行政が事業者や住民をうまく巻き込みながら、“多くの目”で高齢者を見守ることが必要」と強調。それには「都市部を中心に地域の結び付きを強められるかが鍵」と話している。