スマートフォンなどで高齢者ら見守り/熊本

2010年10月07日 読売新聞

 iPhone(アイフォーン)などのスマートフォンやインターネットなどを活用して高齢者や障害者、子どもらを地域で見守るシステムが、早ければ来年初めにも熊本市や菊池市で運用されることになった。

.全国でも珍しい取り組みで、9月末には、NPOや行政、福祉関係者が熊本市に集まり、推進協議会が発足した。(小笠原瞳)

NPO法人熊本まちづくり(会長=丸山定巳・熊本大客員教授)が約3年前に考案し、試験運用を重ねてきた。総務省の「地域ICT利活用広域連携事業」に採択され、来年からの本格運用に向けて開発を進めている。

「ひご優(ゆう)ネット」と名付けたシステムで、インターネット上に福祉総合サイトを開設。見守り支援の申し込みや、高齢者らの自宅を訪問して見守るボランティアの登録ができ、協議会が必要な人材を希望する家庭へ派遣する。

また、高齢者や子どもに全地球測位システム(GPS)付き携帯電話を身につけてもらい、家族らがサイト上の地図で所在地を確認できる機能も盛り込む。

高齢者を訪問した介護者が、携帯電話のインターネットやメールを通じてシステムに連絡すると、自動的に家族や主治医らに安否を連絡できるシステムも整備する。

タッチパネル式のスマートフォンなど最新機器を利用し、お年寄りでも使いやすくするよう工夫する。熊本市の約30万世帯と、菊池市の1万8000世帯を対象に、3600万円をかけてシステムを整える。

協議会が発足した会合では、今後、携帯電話やインターネットサーバーなどの入札先や運営方法を話し合うことを確認した。協議会会長の丸山教授は「新しい技術を活用し、少子高齢化社会で安心して暮らせるようにしたい。地域のきずなを見直すきっかけにもなってほしい」と期待している。