高齢者用IT操作しやすく 中小が事業拡大
2010年10月06日 日経新聞
中小の情報システム会社が高齢者向け事業を拡大する。有料老人ホームの入居者などに、簡単な操作でネットを活用できる機器やソフトを売り込む。米アップルの多機能端末「iPad(アイパッド)」など、操作しやすいタッチパネル方式の端末の普及で、高齢者にもネットの利用が広がる見通し。大手に先駆けて商品化を進め、高齢者向けのIT(情報技術)市場を開拓する。
ファインフーズ iPad使い通販
飲食店向けシステムのファインフーズ(大阪市、川瀬哲也社長)はiPadで通販などの注文を出せるシステムを開発した。飲食店で来店客が自ら注文を出すシステムのノウハウを個人向けに転用し、有料老人ホームの運営会社に売り込む。
運営会社が専用ソフトを搭載したiPadを入居者に貸し出す。端来の画面に電子書籍やDVDを購入する「見る」、旅行チケットや宿泊の手配を中心とする「遊ぶ」といった項目を表示。パソコンなどに詳しくない人でも、タッチパネルの感覚的な操作で好方の商品を選び購入できる。
商品は施設の運営会社が通販会社などと連携して用意する古ファインフーズが受け取るシステム利用料は端末1台あたり月7干円程度で、初年度200施設への導入を目指す。
環境情報デザイン研 手書きメール送信
ソフト開発の環境情報デザイン研究所(東京・文京、白石昌二朗社長)は手書きのメールなどを送れるタッチパネル式のパソコンを貸し出すサービスを始める。テレビ電話や写真の整理、自分史作成などを手軽にできる機能も盛り込む。
企業、市民らが参加する「シニア社会学会」と連携して、パソコン初心者に使い方を教える態勢も構築する。11月には東京都内の集合住宅で社会実験を始め、来春までに本格運用を開始する。「買い物難民」を防ぐため地域の商店街との連携も検討する。料金は月2500円程度で初年度500件の利用を目指す。
ソフト開発のソフトウェアエンジニアリング(大阪市、長村義則社長)はひらがなを五十音順に配置したパソコン用の外付け入力装置や、指でボタンを押してテレビ電話を操作する装置を相次ぎ発売した。通信会社や自治体などが開く高齢者向けパソコン教室と提携して普及を促す。阪南大学経営情報学部の学生と協力して、高齢者が使いやすいネットサービスの開発などにも取り組む。