高齢者見守りネット急増 県内15市町で取り組み 所在不明問題で必要性再認識/栃木

2010年10月05日 下野新聞

 地域の関係団体が連携し、独り暮らしの高齢者らを見守る「見守りネットワーク」が小山市など県内11市町で整備され、昨年から急増したことが4日までに、県高齢対策課などの調べで分かった。このほか4市町が準備中で、計15市町がネットワークに取り組んでいる。東京など全国各地で高齢者の所在不明問題が明らかになったことを背景に、県内でも見守り体制の必要性が再認識されている。

 県高齢対策課が8月末時点で調査したところ、1つ以上の地区でネットワークが発足したのは10市町だった。その後9月に入り、芳賀町内でも始まり、11市町になった。

 準備中の4市町のうち、真岡市では既に自主的に見守り活動を行っている地区があり、そのノウハウを全市に広めたい考え。那須町などは地区説明会などを経て、年度内の発足を目指している。

 昨年6月末時点でネットワークが整備されていたのは、宇都宮市など4市町のみ。県は今年4月から「高齢者見守りネットワークづくりの手引」を配布して整備を促し、およそ1年で3倍近くに増えた。

 こうした市町の状況について、県高齢対策課内には「高齢者の所在不明問題も影響しているのではないか」との見方もある。

 見守りネットワークは地域の実情に合わせ、小中学校区などの地区ごとに地域包括支援センターや自治会、民生委員などの関係者で構成。独り暮らしや高齢夫婦のみの世帯、昼間だけ独りになる世帯など、見守り対象者の情報を台帳にして共有し、訪問や声掛けをして体調など異変がないか確認する。

 一方で高齢者の個人情報の保護が課題として指摘されている。県の手引は、高齢者本人の同意を得た上で、関係者で覚書を交わすなどして情報管理を徹底するよう勧めている。

 ネットワークの現在の整備状況は次の通り。▽整備済み 宇都宮、鹿沼、小山、大田原、さくら、那須烏山市、益子、芳賀、野木、塩谷、高根沢町▽準備中 足利、真岡市、茂木、那須町