若年無業者が独居老人の「支え」に テレビ電話で買い物・掃除など受ける/栃木
2010年09月28日 下野新聞
引きこもりの若者などを支援しているNPO法人「とちぎ教育ネットワーク」(宇都宮市、芳村寿美子代表)は、宇都宮市と高根沢町と連携し、心の病などを抱えるために職に就けない若者が、一人暮らしの高齢者の生活支援をする取り組みを12月から始める。
高齢者からテレビ電話で買い物や掃除などの注文を受け、若者が高齢者宅を訪ねる仕組み。若者には社会とのつながりができるという効果がある一方、高齢者の孤立防止も期待される。
同法人の取り組みは、総務省が少子高齢化などの課題に情報通信技術(ICT)を用いる「地域ICT利活用広域連携事業」に採択された。テレビ電話は国から無償提供される。本年度は宇都宮市、高根沢町で計50人分のテレビ電話が提供され、両市町で利用者を募集する計画。
両市町で事務所を設置し、スタッフが高齢者から注文を受けた後、若者につなげる。買い物や掃除のほか、入院中の身の回りの世話や、話し相手などにも応じる。テレビ電話を活用することで、高齢者の様子を把握できるメリットがある。
28日には、同法人をはじめ、両市や、とちぎ若者サポートステーション、宇都宮大、国際医療福祉大の担当者らで協議会を設立。若者の募集方法や、高齢者が負担するサービス料など詳細を決めていく方針で、支援内容によっては無償になるものもあるという。
仕事をしたいと希望しながらも、職に就けなかったり長続きしない若年無業者(ニート)の中には、うつ病や発達障害などを抱えているケースが多いことから、この取り組みが発案された。
芳村代表は「若者たちが、一人暮らし高齢者の心の支えとなり、働く喜びを知ってもらうことができれば」としている。