県民生協が高齢者向け弁当宅配 福井市中心部で試験導入

2010年09月28日 朝日新聞

 買い物や炊事に不自由する高齢者に弁当を宅配する事業を、福井県民生活協同組合(県民生協)が27日から始めた。来年3月末まで福井市中心部の8地区で試験導入し、好評なら配達範囲を広げる計画だ。県民生協は昨年、中山間地域の買い物支援として移動店舗を始めたが、市街地の高齢者からも同様のサービスを望む声が増えていた。

 夕食用の「弁当宅配」と、宅配時に食料品などの注文を受け付けて翌日配達する「買い物代行」を併せたもので、月~金曜の午後、予約した各戸を回る。福井市の宝永、順化、学園、照手、文京、旭、松本、日之出の8地区の高齢者が対象だが、年齢制限は設けていない。弁当は1食598円(税込み)、買い物代行は1回100円、弁当を頼まない場合は1回200円の手数料がかかる。

 障害者を雇用する社会福祉法人・コミュニティーネットふくい(本部=福井市)に業務を委託し、同丸岡事業所が弁当の料理と宅配を担う。障害者の雇用促進を支援する目的があるという。

 弁当の献立は、事業所専任の調理師が考案する。日替わりで、「豆腐とひじきのハンバーグ」「サケの西京焼き」などのメーンに加え、地元産の野菜を使った料理など1食5つ前後のおかずが並ぶ。希望すれば県産コシヒカリのごはんも付く。1食600~700キロカロリーという。

 県民生協は昨年10月、過疎化が進む中山間地域を対象に、トラックで食料品を運んで販売する「移動店舗事業」を始めた。買い物に不便を感じる高齢者に大好評で、トラック数や配達地域を増やすなど事業は拡大している。

 一方、買い物に不自由はなさそうな市街地の高齢者からも、同様のサービスを望む声が上がっていた。今後も高齢社会が進み、需要や効果は十分に期待できるとして、個別の希望に応じる弁当配達と買い物代行の新サービスを導入することになった。

 毎回配達時に顔を合わせるため、異変に気付きやすい利点を生かし、高齢者の安否を確認する「見守り活動」の役割も目指す。サービスの申し込みや問い合わせは、県民生協のコールセンター(0120・016・165)へ。(岡野翔)