お年寄り、見守り合い…増える地域サロン/横浜

2010年09月22日 読売新聞

 高齢者が集会所などで交流を図る「地域サロン」が県内で増えている。民生委員らに頼りがちだった独居老人の「見守り」を、高齢者同士で「見守り合う」仕組みに変えるのが狙いで、健康面などの異変の早期発見も期待されている。


弾む会話

 4月に、横浜市栄区のスーパー跡にオープンした地域サロン「いこい」は平日、近くの公田町団地の高齢者70~80人が利用する。

 「氷川きよしが好きなの」「今日、テレビに出るでしょ。見ないとね」。お茶を飲みながら会話が弾む。運営するNPO「お互いさまねっと公田町団地」(大野省治理事長)のスタッフ25人も同団地に住む高齢者だ。

 1964年に入居が始まった同団地(全1160世帯)には現在、500人以上の高齢者が暮らす。独居も多く、大野理事長によると、ここ数年、孤独死が増え、3件が報告された月もあった。

 「住民の努力と工夫で、悲惨な孤独死はなくせると思った」と大野理事長。サロンに顔を出してもらえれば健康かどうかもわかる。外出できない高齢者には、こまめに電話している。運営が始まって約半年、孤独死は起きていない。

 横浜市社会福祉協議会によると、横浜市内には地域サロンが274か所あり、4年前に比べて39か所増えた。相模原市では183か所と、4年間で67か所も増えている。


「認知症予防にも」

 08年10月に開設された同市中央区相模原の「シニアふれあいサロン西門」には毎日、7、8人の高齢者が訪れる。その一人の小塩よし子さん(77)は独り暮らし。広島県内に住む長女と連絡が途絶えていたが、サロンで作った絵はがきを送ったところ、連絡を取り合うようになった。

 一緒に歌う「うたごえ」も人気で、阿部毅代表は「声を出したり体を動かすことで認知症や体力低下の予防にもなる」と話す。

 一方、川崎市では4年前に143か所あった地域サロンが、昨年度末には134か所に減った。同市の林徳厚・高齢者在宅サービス課長は「担い手不足が運営を継続できなかった最大の要因。男性のかかわりが少ないことも影響した」と語る。サロン利用者の多くは女性で、男性は定年後もすぐには地域に溶け込めない傾向があるという。

 県高齢福祉課では「孤独死に危機感を持ってからではなく、若い頃から先を見据えて、サロンにかかわるなどしてもらえれば」としている。