高齢者の安否確認システム「見守りくん」開発
2010年09月07日 読売新聞
「見守りくん」を開発した渡辺教授(左)と鈴木さん(法政大学小金井キャンパスで) 法政大学工学部(小金井市)の渡辺嘉二郎教授(66)と、介護機器製造会社「デンケン」(立川市)社長の鈴木誠治さん(74)が、高齢者の安否確認を行うシステム「見守りくん」を開発した。
寝具やトイレの床マットの下にセンサーを置く方式で、監視されているという意識を感じさせず、価格も抑えたという。
鈴木さんが昨年3月、埼玉県の団地に住む友人から「毎年、団地で高齢者の孤独死が絶えない。何とか防ぐ方法はないか」と相談され、開発を思い立った。
まず、都内の自治体を訪ね、高齢者担当の職員に話を聞いた。民生委員やボランティアによる高齢者の見守りが実施されているものの、孤独死がなくならない現状を知った。訪問した自治体は15市区に上った。
同時に、自宅近くの立川市若葉町の団地を訪れ、知人を通して高齢者約20人に聞き取りした。その結果、「頼る人がおらず、万が一の時は不安だ」「手頃な料金なら、サービスを利用したい」「監視されていると感じるのは嫌だ。普段通りの生活の中で見守ってくれるサービスが良い」といった声が集まった。
鈴木さんが「単純な仕組みのシステムを作れないか」と、知人の渡辺教授に相談すると、「ピエゾセラミック」という部品を使うことをアドバイスされた。通常は電圧をかけると振動して音が鳴るため、ブザーに使用される。発想の転換で、圧力がかかると電圧が発生するため、センサーの役割を果たすというわけだ。
「見守りくん」は親機とセンサーのセット。センサーを寝具の下やトイレの床マットなどに設置。センサーが24時間反応せず、電話回線に接続された親機が、センサーが発する電波を受信しないと、自動的に「24時間生体情報がありません」と登録先の家族や病院などに電話する仕組み。電話番号は3件まで登録できる。親機には、登録先に緊急事態を伝える「SOSボタン」もある。鈴木さんは「『見守りくん』なら、レンタル料や利用料もかからない」と利点を強調する。
現在、テスト販売中。価格は2万2000円(センサー二つ付き)。問い合わせはデンケン((電)042・536・7128)へ。