高齢者、孤立させない 尼崎市、10月から見守り事業

2010年09月05日 朝日新聞

 高齢者の所在不明や孤独死が問題となるなか、尼崎市が10月から、地域住民による見守り事業を始める。市高齢介護課によると、国が全国58の市区町村をモデル地区に始めた「安心生活創造事業」の一環。高齢者の見守りや買い物などを地域ぐるみで支援することが目的だ。市は2009年度からモデル地区指定を受けており、国の補助金、年間約1000万円を事業費に充てる。

 10月から始めるのは、大阪市に隣接する市南東部の左門殿地区。高齢化率が約32%と高い地域で、65歳以上のみで暮らす世帯など657世帯が対象となる。

 地区の民生委員や市が委嘱した54歳から84歳までのボランティア39人が、週1回程度、希望者宅をパトロールし、郵便物がたまっていないかを確認したり声かけをしたりして、異常があれば警察や関係機関へ連絡する。今後、ほかの5地区でも同様の事業を順次始める予定だ。

 見守り活動をすることになった同市梶ケ島の浜田衣世さん(74)は「成人した子どもたちが家を出て、高齢者だけで住んでいる世帯が多い。ここは40年間暮らしてきた愛着のある地域。これからもみなで助け合って生活してきたい」と話している。(山下龍一)