CATVや携帯で高齢者の安否確認 ケーブルテレビが山形と岩手で事業
2010年09月04日 山形新聞
ケーブルテレビ山形(山形市)と、同社が大株主である岩手ケーブルテレビジョン(盛岡市)は、ケーブルテレビや携帯電話を活用し、高齢者の安否確認や位置確認、緊急通報など屋内外でのトータルな見守りを行うシステムの構築を進めている。
総務省が本年度の地域ICT利活用広域連携事業に採択。委託事業として早ければ12月から2カ月間にわたり実証実験を行い、成果を検証した上で、来年度から本格展開したい考えだ。
「高齢者に優しい広域連携・CATV活用型見守りプラットホーム構築事業」と名付けられた取り組み。屋内では、ケーブルテレビのリモコンで電源をオン・オフにすると、特殊な装置を組み込んだチューナーを通してケーブルテレビ局に情報が届き、お年寄りの安否確認ができる。
屋外では、高齢者に衛星利用測位システム(GPS)付きの携帯電話を持参または装着してもらうことで、外出時にけがや病気で動けなくなったり、居場所が分からなくなった際などの位置を確認できるようにする。また、携帯電話に押しボタン式の緊急通報機能を付けることで、緊急を知らせるメールを簡単に送れるようにする。
さらに、安否情報や緊急通報などは、ケーブルテレビ局からほかの家族やボランティア、行政、NPO法人などに発信。情報を共有することで、総合的な見守り体制を構築していく。ケーブルテレビ山形内に運営センターを置き、IICT機能を集約化。人材育成や地域間交流などの面でも2社で取り組むスケールメリットを生かしていく。
県内の事業対象地域は山形市、天童市、山辺町で、岩手県が盛岡市と葛巻町。まず5市町から合わせて220世帯を募集し、12月か来年1月から無償で2カ月間の実証実験を展開する。
ケーブルテレビ山形の渡辺聡制作局長は、「山形、岩手両県は共働き世帯率が高く、見守る家族が近くにいない高齢者世帯が多い。安全・安心情報を一元化し、高齢者が安心して暮らせる環境づくりが喫緊の課題となっている。福祉や介護を融合させた公的サービスとして、ケーブルテレビのネットワークを生かしていきたい」と話している。