独居高齢者見守りに、生活状況データベース化/福岡
2010年09月03日 読売新聞
福岡県豊前市が市内の一人暮らしのお年寄りから生活状況や緊急連絡先などを聞き取り、データベース化する事業を進めている。
市役所内外の関係部署・機関と専用端末で情報を共有する仕組み。全国で相次ぐ高齢者の所在不明問題も受け、市は「見守り活動の強化に役立てたい」としている。
同市の高齢化率(総人口中の65歳以上の割合)は29.35%(8月1日現在)で4年前より約2%増えた。少子高齢化でお年寄りが増え、核家族化に伴い周囲の目も届きにくくなっているとして、4月から事業費約930万円で取り組みを始めた。
市社会福祉協議会と連携し、看護師らが対象1179人の家を回り、親類の連絡先やかかりつけ病院、要介護認定の有無などを台帳に記録する。消防団などによる災害時の避難誘導の優先度をつけるため、自立歩行や立ち上がりができるかどうかなどの身体状態も聞き取っている。全員の調査が終われば、高齢者のみの世帯も調べる方針。
調査内容は、対象者から同意を得た上でパソコンに入力し、今年度中にデータベース化する。専用端末を市福祉課や総務課、市社会福祉協議会、介護保険事業を行う豊築支部地域包括支援センター(豊前市)に配置し、名前や生年月日などを入力すればデータを引き出せるようにする。
プライバシー重視などの理由で同意を得られない場合は、高齢者世帯を巡回している民生委員から必要な情報を聞き取って入力するよう努める。
調査は来年度以降も続け、データを更新し、先々は顔写真も登録して認知症などのお年寄りの身元確認ができるようにする。事業を所管する市福祉課は「関係部署や機関との連携を深め、データの幅広い活用法を検討したい」としている。(杉尾毅)