主婦がお年寄りらの「足」に 買い物代行サービス好評 茂木/栃木
2010年08月31日 下野新聞
育児の合間に何か社会に役立つことをしたいと、茂木町内の主婦5人が「おかいもの隊」を結成。自家用車を駆って高齢者や障害者などの買い物を代行し、喜ばれている。結成から約3カ月、認知度はまだ低いが「お年寄りの見守りにもつながる」と、町も今後積極的なPRに乗りだす方針だ。
茂木町西部の40歳女性宅に「おかいもの隊」と書かれた黄色のステッカーを張った自動車が到着した。「ご注文の飲料水のペットボトル1箱買ってきました」。隊員の梅野優子さん(35)が家の中まで運び込むと、女性はにこやかに「ありがとう。助かります」と迎えた。
女性は10年前、脳梗塞を患い左半身が不自由だ。運転のできない身にはスーパーは遠い。日曜日には家族と買い出しに行くが、緊急時は「おかいもの隊」の世話になっている。「電話の後一度顔を合わせるので安心感もある。いい取り組みなので続いてほしい」と歓迎した。
「おかいもの隊」は、梅野さんのほかに代表の小原沢明美さん(40)、菱沼美江さん(39)、市原結香さん(32)、森智さん(35)の計5人で5月に発足した。
「子どもが幼稚園や保育園に通いだし自分の時間が少しできた。困っている人の役に立ちたかった」と小原沢さん。4人の賛同を得て案内チラシの作製やポスティング、互いの自家用車を活用し活動を始めた。
注文は町内全域から火、木、金曜の午前9時~同11時に電話で受け、その後自宅へ伺い詳細を確認し買い物へ。午後2時から同4時の間に品物を届け、基本手数料700円を含む買い物代金を受け取る。家事や育児の合間を縫っての活動のため時間を限定、対象店舗も茂木、益子、芳賀の大型店に絞った。
事務所もないまま手探り状態で始めて3カ月。利用はまだ5件と少ないが、腰を痛めた60代男性や水物をケース買いした60代夫婦など利用者からは、必ず「ありがとう」「助かる」との言葉をもらった。「必要とされていると感じ何よりうれしかった」と5人。「高齢者や障害者以外にも(私たちが)必要なら利用してほしい」
高齢化率が30.9%と県内一高い茂木町では高齢者人口の8.7%を占める421人が独り暮らし(2010年4月1日現在)。星光徳町保健福祉課長は「おかいもの隊の取り組みは高齢者の見守りの面でも意義深い」と期待を寄せる。一方「まだ認知不足の面がある」として今後、社会福祉協議会と連携し積極的なPRに努める方針だ。
問い合わせは、おかいもの隊電話090・7413・9332(携帯)。