お年寄り孤独死、県内200人超 09年まで3年連続/岐阜

2010年08月19日 岐阜新聞

◆薄れるつながり、死後1ヵ月で発見も

 一人暮らしの高齢者(65歳以上)が誰にもみとられずに自宅などで死亡する「孤独死」とみられる県内の事例が、2009(平成21)年まで3年連続で年間200人を上回ったことが18日、分かった。検視した県警の資料を基に県職員の研究会が統計をまとめた。ピーク時の08年は年間300人を超え、発見まで死後1カ月以上が経過したケースもあった。

 全国的な高齢者の所在不明をめぐる問題では、地域のつながりの希薄さが指摘されている。県内でも一人暮らしの高齢者は増加傾向にあり、高齢者の安否の把握など地域ごとの対策が迫られている。

 県の若手職員でつくる県政策研究会によると、65歳以上の孤独死は02年から08年まで増加傾向にあり、ピーク時の08年は304人と、1998年の81人に比べて3倍以上に増えている。

 孤独死では、死後も周囲に発見されず、長時間放置されるケースが少なくない。岐阜市の民家では今年6月、一人暮らしの60代男性が居間で死んでいるのを息子が発見。室内には異臭が漂い、死後約1カ月半が経過していた。今年に入って岐阜市、高山市のアパートでも、一人暮らしの60代男性が死後1カ月近くたって見つかった。

 一方、トイレの電気が2、3日ついていないのを不審に思った隣人が大家に連絡したり、同じアパートの住民が郵便物を届けた際に遺体を発見するなど、普段の近所付き合いから早い段階で発見されたケースもあった。

 同研究会が国勢調査を基にした推計では、05年に県内で4万4731人だった一人暮らしの高齢者は、10年に5万5850人、20年に7万6132人に増える見込み。各自治体によっては見守り活動などに取り組んでいるが、地域とかかわりを持たない高齢者も多く、行政だけの力では防げないのが現状だ。

 県地域福祉国保課は「アパート住まいが増え、地域のつながりが希薄になっている」と指摘。「住民自身が意識すれば、遺体が長時間放置される事態は防げる。あいさつなど周囲と何らかのかかわりを持つことを心掛けてほしい」としている。

 【孤独死】一人暮らしの人が病気などで身動きが取れない状態になり、助けを求めることができないまま自宅で死亡する事案。県政策研究会は、自宅で死亡した一人暮らしのうち、警察の検視対象になった人(自殺を除く)を孤独死として集計しているが、明確な定義はなく、国の実態調査は進んでいない。