高齢者安否確認に〝住民力〟/八戸

2010年08月17日 デーリー東北

 八戸市が町内単位に進める高齢者の見守りネットワーク事業を受け、上組町町内会(中野宗助会長)がボランティアを募って独自に結成した「安心みまもり隊」の活動が軌道に乗ってきた。
地域で高齢者が安心して暮らせるように―と、住民が連携した自主的な取り組みで、市内では初めて組織された。普段からさりげなくお年寄りの安否を確認するなど、〝住民力〟を結集した活動は福祉関係者の注目を集めている。
 
 事業は、市地域包括支援センターが2006年に開始。認知症や独り暮らし、夫婦だけの高齢者を地域で支えようと、ポストに郵便物がたまっていないか、家の電気がつきっ放しになっていないかなどを見て回る。

 市が町内ごとにネットワークづくりを推進中で、民生委員らが中心となり、市地域包括支援センターや各地区の在宅介護支援センターと連絡態勢を取っている。

 上組町では07年に同地区のちょうじゃの森在宅介護支援センターを事務局に、民生委員の小田山典子さん(70)とほのぼの交流協力員ら4人で活動をスタートさせた。

 同町内会に加入する世帯のうち、見守りが必要な高齢者世帯は約20。数人で活動するには難しさがあったため、町内会が09年9月、住民に協力を呼び掛けると40、50代の数人が手を挙げ、独自の隊を結成した。

 早速、高齢者に顔を覚えてもらうため地域の敬老会で自己紹介し、町内を歩く際のPR用ネームプレートも作った。冬場は雪かきで活躍。メンバーの子どもも手伝うなど、地域で温かなつながりが築かれている。

 現在のメンバーは13人。「以前より近所を気に掛けるようになった」など地域を支える意識が高まっている。定期的に集まり、情報交換も大事にしている。

 小田山さんは「民生委員1人では難しいことも、ボランティアのおかげでできるし、住民同士のつながりも生まれる。若い世代にも今後広がっていけば」と話している。

 全国的に100歳以上のお年寄りの所在確認が社会問題となっているが、市高齢福祉課は「上組町町内会のような活動が広がれば、さりげない見守りができる」と評価している。