半数の自治会未実施 高齢者支援の「見守り活動」/岐阜

2010年08月14日 岐阜新聞

 全国で高齢者の所在不明が相次いで発覚する中、支援を必要とする高齢者らの安否確認と問題解決を住民組織がチームで担う「見守りネットワーク活動」が2009(平成21)年10月時点で実施されていた県内の自治会は、把握可能な5238自治会のうち2673自治会(51.0%)にとどまったことが13日、県集計で分かった。

 活動を地域福祉の基幹サービスと位置付ける県は「災害時に支援が必要な人のマップ作成や高齢者向けのサロン開催のきっかけになる」として、地域福祉支援計画で13年度末に100%実施の目標を掲げているが、09年1月の前回集計より1.3ポイント、68自治会の微増。42市町村のうち土岐市、山県市、本巣市など14市町村では活動が始まっていなかった。

 県地域福祉国保課は「積極的な市町村と低調なところが二極分化し、活動が広がるペースも遅い」と憂慮。見守りチームの発足や拠点づくりを支援する県補助金の使途を拡大したり、先進地域の事例を紹介するなど市町村や社会福祉協議会の取り組みを促す方針。

 高山市、飛騨市、不破郡垂井町など10市町村で100%の自治会で実施。このほか県補助制度を活用した大垣市で37自治会、下呂市で23自治会、実施地域がそれぞれ増え、伸びが目立った。岐阜市など、自治会単位では実施数を把握していない市町もあった。

 5圏域別の実施自治会の割合は飛騨95.5%、中濃66.4%、西濃54.9%、岐阜31.4%、東濃10.5%。

 【見守りネットワーク活動】 自治会、町内会単位で民生委員や福祉委員、ボランティア団体などでチームを組織、一人暮らしの高齢者や障害者らを定期的に訪ね、声掛けや困り事の相談に取り組む。県は地域で暮らす要介護者が2007年度までの5年間で23%増えたことや、一人暮らしの高齢者が25年度には本年度より51%増え総世帯の12%を占めるとの推計を踏まえ、民生委員らが個別に支えるには限界があるとして地域団体の連携を重視。社会福祉法に基づいて作成した地域福祉支援計画(09~13年度)に、活動実施率の数値目標を初めて盛り込んだ。