孤独死ゼロに取り組む団地、僧侶による人生相談開始/東京・新宿
2010年05月14日 ケアマネジメントオンライン
新宿副都心の近くにある大規模都営団地「戸山団地」で、地元のNPO法人「人と人をつなぐ会」が、携帯電話による見守り事業と、寺院と連携して高齢者の悩みを聴く活動を開始した。
同団地は1947年から建設が始まり、50年以上住み続けている人もいて、現在の入居者約2,300世帯のうち高齢者の一人暮らしが6割を超え、数年前から「孤独死」の問題も出てきた。そこで、「孤独死をなくす」という目的で、2007年8月に「人と人をつなぐ会」を立ち上げ、民間企業が運営する緊急通報・安否確認・相談サービスが利用できるコールセンターシステムの普及に乗り出した。
このサービスは、通報装置に「緊急」と「相談」ボタンがついていて、緊急を押すと、コールセンターで内容を掌握して消防や警察に連絡。「相談」を押すと、コールセンターで相談を聞くというもの。「人と人をつなぐ会」ではコールセンターでの対応方法を一歩進め、新宿区役所や新宿社会福祉協議会と連携を図り、介護や福祉など相談内容に応じて区役所や社会福祉協議会の担当部署へ連絡をする仕組みを作り上げた。
しかし、相談の中には、区役所では解決できないような、「将来のことを考えると眠れない」といった悩みや「自分の葬式は誰が挙げてくれるのか」といった、一人暮らしの寂しさや不安感を訴える電話が多くなってきた。
このため、以前から提携していた真宗高田派の専修寺関東別院(大田区)が「多様な相談に乗るという寺本来の役割を果たしたい」と、相談事業を引き受けることに。話を聴くのは、10年程度の相談経験を持つ僧侶8人。コールセンターを通じて希望を伝えれば、午前9時から午後7時まで電話で悩みを聴いてもらえる。
携帯電話による見守り事業は、4つのサービスが受けられる。
1つ目が、24時間365日いつでもコールセンターが優しく何でも気軽に話しを聞いてくれる相談サービス。
2つ目が、1日1回、その日初めてケータイを開閉したときに、指定の宛先に固定メッセージが自動でメール送信される安否確認サービス。
3つ目が、緊急時に背面のボタンを押すと大音量で周囲に非常事態を知らせ、コールセンターとの通話もできるサービス。
4つ目が、GPS衛星による位置検索サービス。
同会の代表本庄有由氏は「携帯電話の見守りサービスは固定電話よりも安く利用でき、外でも連絡できるのでより安全が増した。今後は、商店街や町内会にも呼びかけて、町のコミュニティを復活させていきたい」と語っている。