ヤクルト配達で独居高齢者見守る/千葉県成田市
2010年04月14日 産経新聞
千葉県成田市は14日、一人暮らしの高齢者の安否確認などを目的とした「独居高齢者見守り支援事業」をスタートさせた。70歳以上の高齢者宅に乳酸菌飲料を定期的に届け、配達員が話し相手になって孤独感を解消したり、健康状態を確認することで「孤独死」を防ぐ効果も期待される。
記事本文の続き 市では乳酸菌飲料の配達をヤクルト成田センターに依頼し、同社の女性配達員が週1回、乳酸菌飲料「ヤクルト」5本パック(184円相当)を無料で配達する。
対象者は市内の独居高齢者(70歳以上)約1100人のうち、配食サービスや介護サービスなどを利用していない市民。申込制で、市では約400人の利用を見込み、今年度は事業費として約382万円の予算を計上している。小泉一成市長は「高齢者の健康保持、会話による寂しさの解消、安否確認の3つの目的を果たせる」と事業の狙いを話す。
配達初日の14日、配達員の鋤(すき)崎美幸さん(37)からヤクルトを受け取った成田市土屋の三門(みかど)智子さん(84)は「おしゃべりしたり、話を聞いたりするのが大好きなので、何とお礼を言っていいかわからない」と感激していた。
県内では、いすみ市や勝浦市などが同様の事業を展開。成田市内でも事業開始前から、ヤクルト配達員が訪問時に具合の悪い高齢者を見つけるなどの実績を上げている。
ヤクルトでは昭和47年、福島県郡山市の配達員が、誰にも看取られずに亡くなった一人暮らしの高齢者の話に胸を痛め、担当地域の独居高齢者に自費で「ヤクルト」を届けたことがきっかけで、訪問活動をスタート。地方自治体との連携により全国に広がり、平成20年3月現在で全国163の自治体から要請を受け、約3900人の配達員が5万2000人以上の高齢者宅を訪問しているという。