孤独死の実態を初めて調査へ、県営団地をモデル地区に/神奈川
2010年03月21日 神奈川新聞
単身高齢者の急増や地域とのつながりの希薄化で増加が懸念される孤独死について、県は2010年度から実態調査に初めて乗り出す。
県営団地をモデル地区に指定し、孤独死に至った経緯や要因を分析した上で、自治会や市町村など関係機関と連携しながら対策を講じていく。
県によると、県内の単身高齢者の世帯は05年が約22万6000世帯。国立社会保障・人口問題研究所の将来推計では、10年は約29万3000世帯、15年には約37万1000世帯と、急増するとみられている。
孤独死は誰にもみとられずに亡くなることとされているが、明確な定義がなく、実態の把握が進んでいない。
県ではこうした状況を受けて高齢福祉課と住宅課が連携し、10年度に県営団地2、3カ所をモデル地区として指定し、調査を開始する方針。
プライバシーに配慮して家族などからの聞き取りは行わないが、団地の住民や、民生委員から孤独死に至った経緯などを調べるという。
また、団地の自治会や民生委員、老人クラブや各市町村、社会福祉協議会、地域包括支援センターなどをネットワーク化し、2年ほどかけて孤独死を防止する対策を講じていく。
08年度から市内の団地6カ所で見守りのネットワークづくりなどに取り組んでいる横浜市の先例なども参考にする。
開会中の県議会でも問題視され、予算委員会で亀井貴嗣氏(公明)が「少なくとも孤独死の実態調査はすべき」と指摘していた。
県高齢福祉課では「孤独死は単身の高齢者が増える神奈川の問題ととらえている。関係機関をまとめ、対策に取り組みたい。県営団地の対策をモデルケースとして広げていければ」と話している。