新聞配達員らの高齢者見守り活動が各地でスタート――豊中市、府中市、綾川町

2010年02月12日 ケアマネジメントオンライン

新聞販売所などの協力で、子どもや高齢者が犯罪などに巻き込まれることを防ごうという活動が各地で始まっている。日ごろから地域をくまなく回る新聞販売店などのきめ細かいネットワークを生かそうというのが狙いだ。

 そのひとつ、豊中市では、市の研修を受けた市民が「安心協力員」となって、ひとり暮らしの高齢者宅を定期的に訪れ、地域の福祉活動や行政サービスの情報を提供したり、急病時などの買い物や入院の手伝いなどを行う事業を4月から開始させる。それと並行して、郵便、電気、宅配、新聞販売所など、地域で各戸に訪問することが多い事業所約20団体を「ひとり暮らし応援事業者」と位置づけ、仕事中に高齢者を見守る体制を取ってもらうように協力を依頼。具体的な取り組み方法は、事業者にアンケートをとり、定期的にネットワーク会議を開いて改善していくという。
 
 府中市では、市内の新聞販売所でつくる「府中新聞販売同業組合」と同市が、地域の見守りネットワーク活動に関する協定を結んだ。販売員は「新聞受けに新聞がたまっている」「体の具合が悪そうに見える」「高齢者や子どもの悲鳴が聞こえる」などの異常に気づいた場合、市に情報提供するしくみになっている。
また、認知症により徘徊が疑われるケースや不審者目撃時にも対応してもらう。同市ではそれまでにも、自治会や郵便局などへ見守りネットワークの協力を依頼していたが、さらにしっかりとした体制を取ることとなった。それに先立って、庁内の福祉、教育、防犯を担当する部署が連携をとる組織が出来上がったのも大きな成果だという。

 四国新聞販売店会「四国会」は、新聞配達などを通して高齢者宅の安否をチェックする活動「高齢者見守り隊」を綾川町民生児童委員と協力して、同町で2月1日から実施する。四国会はそれまでにも県警と「よんしん安心ネット」を締結して、配達中の事件や事故、不審者情報の通報、防犯チラシの無償折り込みなどを県内全域で行ってきたが、今回はその活動を拡大したもの。
見守りを希望する人にあらかじめ登録しておいてもらい、新聞配達員が「新聞がポストに数日間たまっている」「玄関ドアや窓が不自然に開いている」「真夜中に部屋の電気が付いたまま」といったいつもと違う様子に気づいたら、事前に登録しておいた親族や民生児童委員に連絡して、安否確認するという仕組み。四国会は今後、他市町にも呼びかけて活動を広げていきたいと意気込んでいる。