宇宿商店街が高齢者見守り 携帯電話使い実証実験/鹿児島市

2010年01月18日 南日本新聞


鹿児島市の宇宿商店街振興組合(河井達志理事長、加盟37店)は、お年寄りや子どもの見守り事業に取り組み始めた。国の「地方の元気再生事業」補助金を受け、衛星利用測位システム(GPS)付き携帯電話を使った実証実験を2月まで行う。見守りのほか、売り出しなどの情報も発信し、商店街生き残りへ地域密着度を高める。

 実証実験のモニターは、補助対象である高齢者10人、小学生と親のペア5組のほか、商店街独自に高校生以上65歳未満の5人を加えた計25人。緊急ブザーや歩数計などの機能も付いた携帯電話を配布し、昨年12月に開始した。

 緊急時にブザーを押せば、組合事務所に通報される。事務所から電話をかけて状況を確認し、対象者が電話に出ず緊急と判断した場合などは、GPSで把握した位置を消防に伝えることもできる。夜間は組合会員らが当番で電話を受ける。

 歩数計の計測結果を換算した運動量、商店街の売り出しやサービスなどの情報もメールで送信される。

 モニターの主婦小齊平照代さん(66)=宇宿1丁目=は運転免許を持たず、日ごろの買い物は徒歩約10分の同商店街が頼り。「なじみの店で信頼できる品を手に入れる方がいい。このシステムなら情報が確実に届くし、何かあったときに安心」と期待する。

 河井理事長は「住居混在型の特性を生かし、商店街が地域ケアシステムを担えるのではないか。安心安全のまちづくりにつながる」と話す。組合は実験後、事業をさらに発展させる考えで、5年以内をめどに託児・宅老所付き「見守りマンション」の建設を目指している。