独居高齢者に“専属”顔見知り制度 大阪・豊中市で来春スタート

2009年12月18日 産経新聞

 豊中市と市社会福祉協議会は来春、社会的に孤立しがちな独り暮らしの高齢者の見守り活動などを近隣の市民が行う「安心協力員制度」を市全域でスタートさせる。1回800円で定期訪問し、買い物など身の回りの世話も引き受けるという。
介護保険サービスを受けていなかったり、民生委員の訪問に抵抗感がある高齢者らに「専属の顔見知り」を作るのが狙い。協力員の研修もすでに始めており、成果が注目される。

 厚生労働省が今年度、地域に根ざした福祉を推進する自治体などを対象に選定したモデル事業の一つ。府内では豊中市が唯一、選ばれ、市が委託した社会福祉協議会が、3年間の国の補助を得て制度をスタートさせる。

 制度は、75歳以上の独居高齢者で介護保険の要介護認定を申請しておらず、利用を希望する人が対象。「安心協力員」が高齢者宅を定期訪問し、市の地域福祉活動や施策などの情報を紹介する。また、急病の際に買い物や入院手続きを手伝う。安心協力員は1回800円のサービス料を直接受け取る仕組みだ。

 公募した安心協力員には30~70代の130人が登録。今月初めに開かれた第1回研修会では、厚労省の担当者が「独り暮らしの高齢者のニーズを的確に把握し、素早い対応を心がけてほしい」と呼びかけた。協力員は来年2月まで計6日間の研修を受ける。

 市域を7ブロックに分け、ブロックごとに事業を展開。2月下旬から千里と庄内の両ブロックで試行的にスタートし、3~4月には市内全域で始める。市は今後、実施地域の拡大に伴って協力員を追加募集する方針。支援対象の年齢、要件の緩和も検討する。

 社会福祉協議会は「高齢者に“専属”の顔見知りを作るのが基本。これまで手付かずだった都市型の孤立を解決したい」としている。