高齢者の安否確認役立つ新聞受け飯山で評判に/長野・飯山市
2009年12月05日 信濃毎日新聞
飯山市北原区の住民有志でつくる「ふるさと暮らし支援委員会」は、地区内の一人暮らしのお年寄りの安否確認にも役立つ新聞受けを考案し、区内全31戸の玄関先に取り付けた。集落の高齢化が進む中、昔ながらの地域のつながりを生かした取り組みが、お年寄りの安心にもつながっている。
新聞受けは縦約60cm、横約50cmの箱型。屋根も付いている。全体が木製で、木目が温かみを感じさせる。正面には住民たちがかつて互いを呼び合った「屋号」を記入した。
右側が新聞受け、左側は郵便受けになっている。新聞を入れる部分はふたがなく、夜まで朝刊が残っているお年寄り宅には周囲が声を掛けることにしている。
同委員会によると、地区内の一人暮らしのお年寄りは7人。会社勤めの世帯が増えるにつれて、農業を主体とした以前に比べると地域のつながりは弱まっているという。
お年寄りの安否を毎日確認できる方法を模索する中で、同委員会は新聞受けに着目。市の補助も受けて44万円で今回の木製新聞受けを作った。「命を守る新聞箱」と名付けて、9月に各世帯に取り付けた。新聞の有無を周囲に見られることになるものの、おおむね好評という。
県内の地域づくり団体が11月末に長野市で開いた交流会で展示したところ、集まった人たちの注目を集めた。
設置から3カ月。お年寄り宅に声を掛けたケースはまだないという。同委員会事務局長の出沢俊明さん(49)は「朝夕の通勤時に近所の新聞受けを気に掛ける習慣ができ、以前よりゆっくりと集落を歩くようになった」と話している。