独居高齢者地域で見守り 幸町団地で市モデル事業 来月から/千葉
2009年09月28日 千葉日報
一人暮らしの高齢者を地域で見守るネットワーク構築に向け、市は来月から、中層住宅が立ち並ぶ幸町2丁目地区(美浜区)でのモデル事業に乗り出す。同地区は、65歳以上の単身居住者数が市内最多。孤独死を防ぐ定期訪問、買い物代行などの支援ニーズを把握し、集合住宅の独居高齢者が安心して暮らせる仕組みを検証する狙いだ。
都市再生機構(UR)の5階建て中層住宅が大半を占める同地区は、独居高齢者数は570人(昨年6月)と市内で最も多い。しかし、住宅にエレベーターはなく、買い物帰りの階段利用など「高齢者には骨が折れる居住環境」(市高齢福祉課)。
高齢者の見守り支援では、市と淑徳大学の共同研究でモデル地区となった大宮台団地(若葉区)の先進事例がある。戸建て団地の高齢化に対応しようと、2007年に自治会とライフライン事業者らがネットワーク構築の覚書を締結した。
今回は、中層の公団住宅における支援体制を検討。国から補助金が交付される「安心生活創造事業」の指定を受けて実施する。今年度事業費は計600万円。
対象は、幸町2丁目地区の分譲マンションなどを除いた約4500世帯。賃貸の割合が高く住民の入れ替わりがある中で、地域コミュニティーの強化と合わせた見守りのネットワークづくりが課題となる。
同地区ではこれまでも、民生委員らが独居高齢者宅を訪問しているが、応答がなかったり、拒否されることも少なくなかった。そこで市が団地内に事務所を設け、社会福祉士など専門職の「主任」と、「訪問員」を配置。主任が自治会や民生委員、近隣商店などと独居高齢者を結びつけるコーディネート役を担い、定期訪問や買い物代行といった支援体制を整える。
幸町団地自治会の長岡正明会長(73)は「いろいろな支援メニューがあれば、これまで口を開かなかった人も応じるかもしれない。若い世代を含めた住民間の“見守り意識”も高まるはず」と期待を寄せている。
事業期間は来月から12年3月まで。今年度は、アンケート調査でニーズを把握、来年度から本格運用する。年内にも訪問員らを配置する事務所を設営する。