地域で高齢者ら支援 大田原市でネットワーク構築、10月から開始
2009年09月06日 下野新聞
大田原市は10月、黒羽地区に高齢者・障害者世帯などの見守りネットワークを立ち上げる。住民や社会福祉協議会、大学生などが連携し独居高齢者らの買い物支援や安否確認をする。全国的に独居高齢者世帯が増える中、家族に代わって地域全体で高齢者らを支援する体制づくりを目指す。
ネットワークには市や黒羽地区社協、地区内の9自治会、地元の民生委員らが参加する。住民や国際医療福祉大の学生をメンバーに取り込むことも特徴。業者任せだった介護支援からの転換や、若い学生と高齢者の世代間交流も期待される。
事業内容は、高齢者らの買い物代行や孤独死などを防止するための安否確認。各団体はこれまでも給食や訪問などのサービスを実施していたが、連携不足で訪問日が重なるなど弊害もあった。ネットワークでは、各団体が会議の際、相互に人材を派遣し合い、”縦割り”の解消を進める。
「地域のつながりが強く残っている」(市健康政策課)ため黒羽地区が対象に選ばれた。市健康政策課によると、5月現在、同地区1393世帯のうち独居高齢者世帯は71世帯、高齢者のみの世帯は44世帯だった。
ネットワークでは、市のデータを基に高齢者の実情を調査する。家族が転居先に住民票を移していないなど、実際には高齢や障害者が独居状態になっている世帯などを把握しマップを作成。必要とされる支援のニーズも集約する。同課は「地域で高齢者を支えられる人材が育成できれば」と話している。
ネットワークづくりは、厚生労働省の安心生活創造事業の指定を受けている。3カ年事業で、毎年600万円~1千万円の補助が受けられる。本県で指定を受けたのは鹿沼と大田原の2市。