安否確認を新たに計画 NPO法人「こやだいら」活動1年/徳島・美馬市

2009年05月10日 徳島新聞

 美馬市木屋平地区で高齢者の有償送迎に取り組むNPO法人こやだいらは本年度、住民同士が支え合う取り組みの一つとして、一人暮らしのお年寄りの安否確認事業に乗り出す。有償送迎は一年間で延べ492人が利用するなど、交通手段を持たない住民の足としてほぼ定着し、農作業支援などの事業も好評。こやだいらは地区になくてはならない組織に成長しつつある。

 安否確認事業は、家族などから依頼を受けて、訪問や電話などでお年寄りをケアするもの。同地区は65歳以上のお年寄りの割合を示す高齢化率が52%と非常に高く、一人暮らしのお年寄りも多いことから計画した。阿部義則理事長は「安否確認はサービスを受ける本人だけでなく、地域外に住んでいる親類などにも安心を与えることができ、防災上の観点からも重要」と話している。

 こやだいらは2007年12月に結成、第一弾として昨年4月から有償送迎を始めた。送迎希望者と運転手をできる人がそれぞれ登録し、予約を受け付けると運転手の中から都合のつく者が自家用車で有償送迎する。

 1000円の年会費を払えば1km当たり130円で利用でき、この1年間で204件の利用があった。開始時に260人だった送迎希望登録者は今年3月末には地区住民3分の1に当たる330人に上っている。木屋平川井の診療所への往復に利用している住友茂子さん(76)=木屋平今丸=は「家まで迎えにきてくれるので助かる」と言う。

 昨年5月から実施している農作業の支援は、高齢者の農家の要請があれば作業の手伝いに出向く事業で、ユズの摘果や茶摘みなど30件の依頼があった。さらに、同六月からはデイサービスセンターの運営支援も行い、お年寄りの話し相手など約百件を請け負った。

 活動を始めて1年がすぎ、運営スタッフも約70人に増えた。阿部理事長は「活動を通じて、高齢化や過疎が進む地域で助け合う仕組みをつくっていきたい」と意欲をみせている。