ごみ出し助け安否確認 白河市が高齢者訪問事業/福島

2009年04月29日 河北新報

 ごみ出しを手助けしながら、お年寄りの安否を確認します―。福島県白河市が、一石二鳥の「あったか訪問収集事業」をスタートさせた。コミュニティーが希薄な大都市の自治体で行われてきた取り組みだが、中小都市でもニーズは高まっている。

 寝たきりや認知症などの一人暮らしの高齢者や障害者で、ごみを集積所まで持って行くのが難しい人が対象。同居の家族がいても、家族の体が弱い場合は対応する。

 事業は23日に始まり、ごみ収集を受託する協業組合白河地方リサイクルセンターの収集員が週1回、訪れる。声を掛け、異常があった場合は関係機関に連絡する。

 国の緊急経済対策を活用した事業で、当面3年間実施する。既に一人暮らし12人と、ともに体が弱い老夫婦2世帯の計14世帯が利用を申請した。市の高齢化率は22.0%。一人暮らし世帯は確認できるだけで850人を超え、希望者は増えるとみられる。

 同市白井掛下の一人暮らしの女性(82)は3年前から足が弱り、つえなしでは歩くのが難しい。ごみ集積所まで約100mあり、牛乳配達員がごみ出しをしてくれていたという。女性は「ありがたい。1人なのでいつ倒れるか分からず、訪問してくれるとほっとする」と笑顔を見せた。

 同様の事業は福島市が2007年度から実施、利用者は約600人に上る。これまで自宅で亡くなっていた2人を発見。体調を崩していた高齢者を救急車で病院に搬送したケースが7件ある。

 白河市高齢福祉課は「市内でも『隣近所にどんな人が住んでいるか分からない』といった声を聞く。見守りを充実させ、安心して生活してもらいたい」と話している。