電気使用量の変化で 独居高齢者 見守りシステム/東京

2009年04月22日 東京新聞

 狛江市と財団法人「電力中央研究所」(千代田区)が、独り暮らしの高齢者の電気使用量などを把握することで、生活の安全に役立てる「独居高齢者見守りシステム」の実証試験を続けている。21日には同市内で報告会を開催、市は「来年度中にも事業化したい」と話している。(奥野賢二)

 試験には、市内の独り暮らしの60-80代の男女11人がモニターとして参加。自宅の分電盤に電気使用量を一時間ごとに計測する「見守り装置」を設置し、データが市介護支援課のパソコンに送信される。

 同課で1日2回、状況をチェック。48時間以内に電気使用量に大きな変化がない場合は同課から本人や家族、近所に連絡する。実証試験は昨年10月に始まり、今年9月まで継続する。

 同課によると、同市の独り暮らし高齢者は約4000人に上るとみられ、孤独死なども報告されている。この日の報告会ではモニターへのアンケート結果も公表。「しっかり見守られていると実感できた」「安心感がある」と評価する意見の半面、「少し監視されているような気がする」との声もあった。

 同課では「結果を精査し、段階的に取り入れていきたい」と導入に前向きだ。同研究所では「1000人規模でシステムを運用した場合、行政だけで把握することは難しい」とし、セキュリティー会社や介護サービス事業者に業務委託する必要などを指摘している。