都会の孤独死防ごう 各区でさまざまな高齢者対策 小さい組織の網で目配り/東京
2009年04月03日 東京新聞
核家族化が進み、近所づきあいも疎遠になりがちな都会に暮らす高齢者の孤独死を防ごうと、港区が本年度から、さまざまな対策に乗り出している。地域を挙げて、高齢者に目を配ろうとの試みで、都市部のモデルケースにもなりそうだ。(松村裕子)
港区は、きめ細かな見守り活動を実施するため、関係機関による5つの支所単位でのネットワークづくりに乗り出す。2010年度には町内会など小さい生活圏での見守り活動を目指す。
同区は07年に、消防署や医師会、民生委員などの関係者を集め「高齢者地域支援連絡協議会」を設置。今後は、地域の実情に合わせて、支所ごとにメンバー構成を検討し、その地域の交番や消防団、ボランティア団体など地域に密着したメンバーで孤独死防止のシステムをつくる。
また、これまで週6回に限られていた独り暮らしの高齢者への配食サービスを、7回に増やし、見守り活動に活用する。
配食サービスは、食事作りが困難な独り暮らしや高齢者だけの世帯が対象。利用者の負担は半額の1食500円で、栄養バランスのよい食事で健康維持につなげてもらおうとの狙いがある。
これを安否確認にも役立て、昼食か夜食の配達の際、業者が安否や健康状態を確認し、異常があれば区などに連絡する。昨夏には、暑さで脱水症状になった高齢者を配達員が見つけ、救急車で病院に運び、一命を取り留めている。
配食サービスには現在、約1500人が登録。登録者は2003年度に比べ、倍増しており、年間では延べ10万食前後の利用があるとみられる。港区の65歳以上の高齢者は約6000人で増加傾向。区は「配食を毎日にすることで、よりきめ細かい安否確認ができる」として利用を促している。