過疎対策で「見守り」「支援」強化 すさみ町/和歌山

2009年03月17日 紀伊民報

 和歌山県すさみ町は今春から、過疎集落の活性化対策を本格化させる。手始めに、町職員による集落の見守り活動を拡充させる。総務省が財政支援している「集落支援員」も配置し、地域の行事を応援したり、集落の価値を見直したりする活動を強化する。橋本明彦町長は「地域の声に耳を傾け、共に考えながら自立的な集落づくり、活力ある集落づくりに力を入れる」と話している。

 すさみ町は、39ある集落のうち、65歳以上の高齢者が半数を超す「限界集落」が19ある。また、国立社会保障・人口問題研究所(東京)の推計で、2035年には全国で7番目に高い高齢化率(62.9%)になるとされており、深刻な高齢化と過疎化への対策が課題になっている。

 このため、橋本町長は「超高齢化社会を受け入れる、超高齢化社会と向き合うというまちづくりを準備していくことが、いま求められている」と判断。産業振興や住みよい環境づくりなどとともに、町の総合施策の重点課題にして過疎集落の活性化、活力ある集落づくりを目指す。

 具体的には男性職員が2人一組で「集落みまもり隊」を編成、計6人が三つの限界集落の各戸を1月末から月1回の割合で試験的に巡回している。高齢者に声を掛けたり、悩み事や行政に対する要望を聞いたりしている。好評なため、4月以降、順次、職員を増やし、巡回地域を広げる。

 当面は、山間部に位置する計12の限界集落(旧佐本村と旧大都河村)を対象にする。状況を見ながら保健師(女性3人)の参画も考える。

 支援員は、総務省が08年度に財政的支援を始めた。すさみ町では09年度に初めて設置する。費用として45万円を当初予算に計上した。集落を定期的に巡回して実態を把握し、必要な施策を見極め、有効な活性化策を練る。

 町では地域に詳しい町職員OBや農業委員会委員、限界集落の出身で役場の近くに住む人らを候補に挙げ、人員として数人を見込んでいる。4月から人選に入り、メンバーが決まり次第、総論的な勉強会を実施。順調なら、5月以降、地域で具体的な活動に着手する見通しだ。

 すさみ町は、国土交通省の補助事業として、昨秋に過疎集落の活性化を考える「すさみ町半島中山間地域協議会」も発足させている。

 「3カ年で山間部の12の限界集落の魅力を調べ、人材を育て、4年目以降の持続的な取り組みにつなげたい」としている。「みまもり隊」や「支援員」の活動とも連動させる方針だ。

 ほかにも、空き家を活用した地域活性化と定住促進のためのバンク制度を確立させたいとしている。