高齢者守る「愛ことば」/大分
2009年01月04日 大分合同新聞
大分市の会社が運用する一人暮らしの高齢者らを対象にした生活支援通信システムが、東京・新宿区の都営戸山団地に導入されることが決まった。同団地は高齢化による“都会の限界集落”ともいわれ、「孤独死」が相次いでいる。大分発のシステムが、都会のお年寄りの生活を見守ることになった。
同社は福祉通信機器を扱う「愛ことば」(柿田正信社長)。システム名も「愛ことば」で、2009年中、計1000戸に端末を設置する。
「愛ことば」は情報端末にマイクとスピーカーを内蔵。電話回線を通じてコールセンターが24時間対応し、日常の安否確認や相談の話し相手をする。緊急通報ボタンや火災報知機の通報機能もあり、コールセンターから119番通報や、家族、かかりつけ医などへの連絡もする。防災情報などの伝達もできる。
日出町の「日出ハイテック」(姫嶋暢彦社長)と共同開発し、05年に運用を開始。自治体や生協が導入を進めるケースが多く、九州を中心として主に西日本で利用されている。
戸山団地では孤独死が問題となっていたことから、08年、試験的に「愛ことば」を導入。高齢者支援の効果が高いとして本格的な採用が決まった。社会福祉のNPO法人と契約する。
コールセンターは現在、大分市と神戸市に置いている。関東圏でも普及すれば、新たに東京にも設ける予定という。
システムの特長は、日常的に高齢者の安否を確認し、相談相手になること。これらを評価され、昨年12月には共同開発の両社と県中小企業団体中央会の三者で、国の「新連携」認定を受けた。今後、新規サービスの開発にも力を入れる。
両社は「新連携の認定は社会的信用の向上にもつながり、さらなる販路拡大も期待できる。大分生まれの『愛ことば』を地元をはじめもっと普及させたい」と話している。
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(株)愛ことば/自己破産
高齢者向け「愛ことば」の(株)愛ことば(大分市王子町4-4、代表:柿田正信)は2010年9月16日、破産開始決定を受けた。破産管財人には吉田祐治弁護士(電話:097-536-3602)が選任されている。負債額は約5億円が見込まれる。
同社は東京(豊島区北大塚1-19-12)にも事務所を構え、「愛ことば」をキャッチフレーズに、高齢者向けサービスを展開。会員には「愛ことば」専用携帯電話を持たせ、毎月3,295円支払うことで、心配事や悩み事、病気などの各種相談の窓口を開設していた。
不景気で会員が計画通り集まらなかった。