配食サービスで安否確認されず 80代独居女性が死後3日で発見!/横浜

2008年01月08日 ケアマネジメントオンライン

 横浜市は、安否確認を兼ねて実施している高齢者向け配食サービスで、配達時に利用者の応答が無かったにもかかわらず、緊急連絡など規定の対応が取られず、独居の80歳代女性が死後3日で発見されたことを12月26日に発表した。

 横浜市より配食サービス事業を受託していたのは、横浜市保土ケ谷区の「特別養護老人ホームかわしまホーム」。同施設は、横浜市が配食サービスを委託する33事業者の1つで、平成13年11月より、スタッフ8人で120人の利用者へ食事を配達している。

 配食サービスを請け負って6年以上の同施設で、不手際が起こった原因について、横浜市健康福祉局高齢在宅支援課長の中井氏は、「応答がなかった利用者を放置したスタッフ2人は、1日目の担当者が1年、翌日の担当者は1ヶ月と、他の6人に比べて勤務経験が浅く、高齢者の安否確認に対する危機感が足りなかったのではないか」とコメントしている。

 同市の報告によると、安否確認を怠った「特別養護老人ホーム かわしまホーム」は、利用者に向けて、お詫びと再発予防についての文書を配布しているが、利用者からは特にサービス中止など大きな混乱は出ていないようだ。

 今回、親族通報につながった民生委員の訪問も、事前に予定されていたものではなく偶然であったため、この日の民生委員の訪問が無ければ、更に安否確認が遅れて、不慮の死も気づかれなかった可能性が高い。

※以下、同市発表資料より要約

■ご利用者の状況
保土ケ谷区在住・女性(80歳代)・一人暮らし
サービス利用日:月、火、金、土、日(夕食)
12月20日頃死亡。死因:心臓病

■経過
12月18日(火):ご本人に直接配達(お元気なご様子)

12月21日(金):配達員A(男性・50歳)が配達のため訪問するが、不在のため他の配達先にまわり、再度訪問したがやはり不在。不在連絡票をドアのすき間に差し込む。施設に戻った後、電話するが応答なし。

12月22日(土) :配達員B(男性・45歳)が、配達のため訪問するが、不在のため不在連絡票をドアのすき間に差し込む。

12月23日(日):民生委員が訪問し、新聞がたまっているのを見て、親族に連絡した。親族が消防署に連絡し、救急隊員が駆けつけたところ、ご本人が風呂場で死亡されているところを発見された。不在連絡票があったため、救急隊員から施設に連絡。その後、民生委員から施設に死亡されたとの連絡があった。

12月24日(月):栄養課主任(配食責任者)から施設長に報告。

12月25日(火):施設から市に報告(8:57) 市から親族に確認(20:10)

■原因
(1) 施設では、配達員に不在時の必要な対応について適切に指導を行っていなかった。
(2) 施設では、配達員から不在であったことについて、配食の責任者に報告されていなかった。

■再発防止策
(1) 不在時の必要な対応の手順について再確認し、配達員全員(8人)に徹底した。(12月23~25日)
(2) 不在等の場合、責任者等への報告、申し送りを徹底した。(12月23~25日)
(3) 横浜市から全委託事業者に対し、再度、不在時の必要な対応の徹底を周知した。(12月26日)

●横浜市高齢者食事サービス事業
ひとり暮らしの中重度要介護者等で食事の用意が困難な方で必要と認められた方に訪問による食事の提供と安否確認を行う。(1日1食週5回以内で曜日を決めて行う)
事業者総数:33事業者。登録者総数 3,743名(平成19年12月1日現在)

「特別養護老人ホーム かわしまホーム」
登録者数:120名(平19.12.1現在)
横浜市保土ケ谷区川島町1514-2
(福)幸済会 理事長 三村圭美(みむらますみ)
担当:かわしまホーム施設長・閑野義則(かんのよしのり)
電話:045-371-8080

●横浜市高齢者食事サービス事業における不在時対応
訪問時不在で本人と連絡がとれない場合は、あらかじめ申請のあった緊急連絡先(親族、ケアマネジャー等)に連絡し、その結果に応じて必要な対応をすることとなっている。