乳酸菌飲料を無料支給!孤立死対策取組-第2回厚労省会議(2)
2007年12月15日 ケアマネジメントオンライン
厚労省は、12月11日、第2回高齢者などが一人でも安心して暮らせるコミュニティづくり推進会議(「孤立死ゼロ」を目指して)」を開催した。
都市部を中心に高齢者のみの世帯が増加しつつある一方、地域でのコミュニティ意識の希薄化が問題視されており、同会議では、高齢者が地域から孤立しないための取組み普及を図っている。
今回は、全国から講演依頼や視察を受ける千葉県の団地自治会や、乳酸菌飲料無料支給を市制で行う愛知県愛西市の取組事例などが報告された。
愛知県愛西市役所福祉部 地域包括支援センター
【愛知県愛西市の概略】
愛知県愛西市は、愛知県西部に位置することから「愛西(あいさい)市」となった。2005年4月1日、海部郡佐屋町、立田村、八開村、佐織町の2町2村が合併し発足。人口67,112人、21,160世帯。高齢化率は20.84%、65歳以上の独居世帯は1,205世帯、高齢者世帯は1,576世帯。
【一人で亡くなっている状態を発見されたケース】
平成19年=7件、平成18年=9件、平成17年=1件、平成16年=3件
※正確な統計はなく、市役所職員等からの聞き取りにより得られた事例数。
※死亡した者の年齢:53~90歳以上、死亡から発見までの期間:当日~1ケ月
【これまでの主な取り組み】
一人暮らしをはじめとする高齢者の生活の安心や安全を支えるため、これまでに次のような事業を行っており、孤立死の予防・早期発見にも効果がみられた。
■緊急通報システムの設置
- 概ね65歳以上の独居老人など(必要と認められる方)を対象に、ペンダント式の緊急通報用機器一式を貸与し、急病等の緊急時に対応する。通話料は自己負担。
■乳酸菌飲料の無料支給
- 65歳以上の独居老人(必要と認められる方)を対象に、自宅に乳酸菌飲料を無料配付し、安否確認を行う。
■配食サービス
- 概ね65歳以上の独居高齢者、高齢者のみの世帯、調理困難な身体障害者世帯などを対象に、自宅まで週5回以内(月~金曜日)、昼食を配食(当日回収) し、安否確認を行う。1食につき400円自己負担。
【モデル地区設定と孤立死防止対策】
愛西市内で、昭和40年代初めにできた戸建住宅団地をモデル地区とした。当時の現役世代が高齢化し、一人暮らし・高齢者世帯も多くなり、過去に孤立死が発生している地域である。
人口:602人、高齢化率:27%、世帯数:210世帯、65歳以上の一人暮らし世帯:25世帯、高齢者世帯:26世帯。
■地域支援ネットワークの構築
- モデル地区住民、地区役員、市役所、警察署、消防署、社会福祉協議会、 在宅介護支援センター、介護サービス事業者のほか、乳酸菌飲料販売店、牛乳販売店、鍵専門店、新聞販売店、郵便局とのネットワーク構築。
■緊急時のための情報網・連絡体制の整備
- 緊急時対応フローチャートの作成し活用。連絡・協力体制を明確化。
- モデル地区の独居高齢者で、独居台帳の登録をしている25名を対象に「鍵を預けている人」を追記してもらった。
- その結果、「鍵を預けている」17名、「預けていない」8名。預けている相手の居住区は、「市内」名、「近隣郡内」1名、「県内」8名、「県外」1名。
【モデル事業を行って、わかったこと】
●孤立死の発見場所は、予想通り居室が多かったが、浴室や寝室も意外に多く、これは市で貸与支給したペンダント式の緊急通報用機器を、ベッドサイドや浴室では取り外していたため。
●独居高齢者も高齢者世帯の高齢者も、孤立死の危険性がある状況は、ほとんど変わらない。独居でなくとも、親しい親族、親しい友人、近所づきあいなどから孤立している高齢者がいることがわかった。
●人々の「見守り」は、場合によっては「監視」ととらえられ、お互いに暮らしにくさを感じる要因となりかねない。
各個人が「自分は誰にどのように見守ってほしいのか」「緊急時にどのように対処してほしいのか」を考え、それを自身で相手に依頼できるようになると良いと思われる。
行政は、そのための啓発、情報提供、体制整備、支援をしていく必要がある。