全国から視察受ける孤立死対策取組を紹介-第2回厚労省会議(1)
2007年12月14日 ケアマネジメントオンライン
厚労省は、12月11日、第2回高齢者などが一人でも安心して暮らせるコミュニティづくり推進会議(「孤立死ゼロ」を目指して)」を開催した。
都市部を中心に高齢者のみの世帯が増加しつつある一方、地域でのコミュニティ意識の希薄化が問題視されており、同会議では、高齢者が地域から孤立しないための取組み普及を図っている。
今回は、全国から講演依頼や視察を受ける千葉県の団地自治会や、乳酸菌飲料無料支給を市制で行う愛知県愛西市の取組事例などが報告された。
【千葉県松戸市常盤平団地自治会】
■孤独死の課題に取り組むきっかけとなった事件
千葉県松戸市の常盤平団地は、約5300世帯、9000人が暮らす国内でも最古の大規模団地で、高齢化率は約30%。この団地で2001年、59歳の男性入居者が死後から3年経過して白骨死体で発見された。
死後、連絡が取れた兄弟によると男性は親近者とも音信不通で離婚後は独居。ほぼ毎日飲酒しており、近隣の人と挨拶を交わすこともなかった。家賃や光熱費は口座引き落としだったため、貯金が底を着いて住宅管理者が訪問するまでは、発見されなかった。
さらに翌2002年には、異臭とベランダ網戸のハエの大量発生で住民が気づき、電源が入ったこたつに伏せている57歳の男性が、死後4ヶ月で発見されるなど孤独死が相次いだ。
これらの事件に衝撃を受けた団地自治会、常盤平団地社協、民生委員などが会議を開催し孤独死対策に乗り出した。
■孤独死対策
●「孤独死110番」と「孤独死予防センター」の設置
- “郵便物がたまっている”“洗濯物が干しっぱなし”など様子がおかしい兆候に気づいたら役員に通報してもらい、警察や消防と連携して早期発見ができるようにした。また事前に孤独死を予防するため、「孤独死予防センター」を全国初で開設し、約20人の民生委員やボランティアが団地内の巡回や相談対応を行っている。
●「あんしん登録カード」
- 団地入居者に緊急連絡先、かかりつけ医、血液型などを記入してもらい、団地管理事務所と団地社協に保管。
●「いきいきサロン」の開設
- 今年の4月には、都市再生機構の協力で団地内商店街の一店舗に、家賃の半額で住民同士の交流の場「いきいきサロン」を開設。
- 入場料は1人100円。午前11時から午後6時まで年中無休で営業し、お茶やコーヒーが無料で飲め、食べ物の持ち込みも自由。1Fはソファのあるサロン、2Fは6畳の和室が2室あり会合やサークル活動にも開放している。禁煙・禁酒が規則。
- 約20名の主婦が世話人となり1時間200円の有償ボランティアとして、毎日2名体制で運営にあたる。
- 毎日30~40名の利用者が訪れている。
■孤独死対策の効果と要因
自治会では、毎年、警察署の協力を得て市内の孤独死者数を集計、分析して公表している。
データによると2005年に松戸市内で孤独死した人は102人だったが、2006年には72人と前年比30%も減少し、2003年以降で初の減少となった。
特に50~64歳の「中年層」の孤立死が大幅に減少したことが特徴。メディアでも全国的に報じられるなど住民意識が高まり、「自己防衛策」が普及したことが要因とみられる。
同自治会会長の中沢氏は「自治会、団地社協、民生委員などが一体感を持って孤独死防止へ取り組んできたが、つきつめて学んだのは、「あいさつ」するという生活習慣が重要であることを再認識した。プライバシーや個人情報保護が重視される風潮だが、地域の住民同士、人としてあいさつくらいは最低限できるはず。やはり「あいさつは孤独死ゼロの第一歩」と実感した」と話した。
*乳酸菌飲料を無料支給!孤立死対策取組-第2回厚労省会議(2)へ、続きます。