広場を触れ合いサロンに 松戸・常盤平団地

2007年04月10日 東京新聞

 独り暮らしの高齢者らが自宅で亡くなり、気付かれない「孤独死」問題に先駆的に取り組んでいた千葉県松戸市の常盤平団地自治会などは、防止策の一環として、団地内に「しあわせ広場」を設けることを決めた。
広場沿いにある空き店舗を、拠点となる音楽喫茶のような「いきいきサロン」として運営し、広場を子供と高齢者らが触れ合う世代間交流の場に位置付ける。併せて低迷する団地内の商店活性化も図りたいという。15日にはサロンのオープンパーティーが開かれる。 (松戸通信部・川田栄)

 しあわせ広場が開設されるのは、テナントの飲食店などが入居している建物に囲まれた常盤平中央商店会広場。5300世帯余、約9000人が暮らす団地だが、最近は広場で住民たちが過ごす姿は少なく、商店会も空き店舗が目立つようになったという。

 「孤独死を防ぐには、引きこもりがちな人たちに地域参加の足掛かりとなる場所が必要だ」と考え、孤独死の防止策を進めている団地自治会と常盤平団地地区社会福祉協議会などが検討。同商店会広場と空き店舗を活用し、しあわせ広場設置を決定した。

 広場のベンチを新しくするほか、空き店舗のうち小物店が入っていた場所をいきいきサロンとして改装、団地を管理する都市再生機構が店の家賃を半額にするなどの形で協力していく。

 サロンは1、2階合わせ約100平方メートル。自治会と団地社協が無休の予定で運営、コーヒーや紅茶などを低価格で提供し、利用者が食べ物を持ち込み、ゆっくり過ごしてもらう。さらに広場では音楽発表会やフリーマーケット、広場内の樹木を利用したクリスマスツリー飾りなど、年間を通してさまざまな催しが考えられている。

 中沢卓実・自治会長は「広場を『孤独死ゼロ』につなげ、地域活性化と文化の発信基地にしたい」と話している。

 同団地では2001年春、死後3年経過した住民の男性=当時(59)=が見つかったほか、この1年後には死後4カ月の男性=同(57)=が発見された。これらの問題を機に、団地自治会と団地社協などは02年7月、警察や民生委員、都市再生機構(旧・都市基盤整備公団)の協力で緊急通報体制「孤独死110番」を確立。住民の異変を通報してもらう新聞販売店との協定のほか、高齢者や単身世帯を対象にした緊急時の連絡先を記す「あんしん登録カード」の作成など、全国に先駆けた活動を進めている。


<メモ>常盤平団地

大規模住宅団地の先駆けとして千葉県松戸市に造成された。1960(昭和35)年から入居が始まり、東京のベッドタウンとして人口が急増した。現在は入居者の高齢化が進み、独り暮らし世帯が増えている。65歳以上の高齢者が入居者の3割近くを占めているとされる。